パッケージエアコンについての基礎知識

パッケージエアコンについての基礎知識

オフィスや店舗、ビルや大型施設などで使われる「パッケージエアコン」についての基礎知識のご紹介です。

Q01ルームエアコンとパッケージエアコンの違いは?

A01

家庭用エアコンとパッケージエアコン(業務用)との大きな違いは、冷暖房能力です。さらにパッケージエアコンは、オフィスや店舗などの中規模な【オフィス店舗用】と、ビルや大型施設などの【ビル用システムマルチ】に分けられます。パッケージエアコンは、広さや高さ、用途を考えて選択する必要があるため、さまざまなタイプの室内機が用意されています。

エアコンの選択基準

ルームエアコン パッケージエアコン(業務用)
一般住宅用 オフィス・店舗用 ビル用システムマルチ
用途 戸建住宅・集合住宅など オフィス・食堂・店舗など ビル・大型施設など
機種選定 部屋の広さ(畳) 冷房能力機種 冷房能力

冷房能力帯

※室外機ベースでの比較

ルームエアコン(シングル)、ルームエアコン(マルチ)、パッケージエアコン(オフィス/店舗用)、パッケージエアコン(ビル用)の能力帯のマッピング図

Q02パッケージエアコンの機種設定のポイント

A02

パッケージエアコンの機種設定のポイントは以下の3つになります。

必要な能力を決める。

ルームエアコンでは部屋の広さ(畳数)で決めますが、パッケージエアコンは部屋の用途(業種)と広さを検討する必要があります。例えば、オフィスと食堂では必要な能力が違います。

部屋の形状などから、機種を決める。

お部屋の形状などにより、最適な機種を選定します。

室内機・室外機の設置場所を決める。

障害物や気流の広がり、メンテナンス性などを考慮します。

Q03能力(冷房負荷)の目安は?

A03

設置する場所により、能力の目安が異なります。

  • 一般事務:OA機器からの発熱も考慮する必要があります。
  • 一般商店:ドアをオープンにしている店や大きな窓のある路面店は、能力に余裕を持たせます。
  • 食堂:厨房の熱や換気、焼き肉やお好み焼きなどテーブルに熱源がある場合などを考慮します。
  • 喫茶・理容:お客様が長く座るお店では、エアコンの風当たりを考慮します。

概略負荷計算 標準負荷一覧

形名 一般事務 一般商店 食堂 喫茶・理容
P40形1.5馬力30m2 前後22m2 前後14m2 前後16m2 前後
P45形1.8馬力33m2 前後25m2 前後16m2 前後18m2 前後
P50形2馬力36m2 前後27m2 前後18m2 前後20m2 前後
P56形2.3馬力41m2 前後30m2 前後20m2 前後22m2 前後
P63形2.5馬力46m2 前後34m2 前後22m2 前後25m2 前後
P80形3馬力59m2 前後44m2 前後29m2 前後32m2 前後
P112形4馬力82m2 前後61m2 前後40m2 前後44m2 前後
P140形5馬力102m2 前後76m2 前後50m2 前後55m2 前後
P160形6馬力117m2 前後87m2 前後57m2 前後63m2 前後
P224形8馬力164m2 前後121m2 前後79m2 前後87m2 前後
P280形10馬力204m2 前後152m2 前後100m2 前後110m2 前後
1m2あたり冷房負荷の目安115~170W/m2155~230W/m2230~370W/m2230~290W/m2

Q04室内機はどんな種類がありますか?

A04

部屋の形状や用途に合わせてさまざまなタイプがあります。

天井埋込カセット形

本体は天井内に埋め込まれ、化粧パネルだけが表面にでる設置方式です。配管類が天井内にレイアウトされるデザイン性に優れています。

イメージ図:4方向天井カセット形

4方向天井カセット形、2方向天井カセット形、1方向カセット形など

天井埋込ダクト形

本体は天井内に埋め込まれ、吸込口・吹出口だけが表面にでる設置方式。ダクト接続により、自由なレイアウトができるため、温度ムラのない空調が可能。

イメージ図:天井ビルトインカセット形

天井ビルトインカセット形、ビルトインオールダクト形、天井埋込形

天井露出形

本体は天井面や壁面に露出設置されるタイプ。

イメージ図:天井吊形

天井吊形、壁掛形など

床置形

床に置くタイプ。短期間での設置が可能。

イメージ図:床置形

Q05室内をムラなく快適空間にするには?(同容量接続・同時運転マルチ)

A05

「マルチ運転機能」により、室外機1台に対して、室内機が1~4台まで同時に運転できます。広いフロア・部屋を複数の室内機で分散することで、ムラのない快適な空間をつくります。1つ1つの室内機のサイズも小さくすることができます。

シングル

1台の室外機に、1台の室内機の組み合わせです。

同時トリプル

1台の室外機に、3台の室内機を同時に発停する組み合わせです。

同時ツイン

1台の室外機に、2台の室内機を同時に発停する組み合わせです。

同時ダブルツイン

1台の室外機に、4台の室内機を同時に発停する組み合わせです。

イメージ図:床置形

Q06機種選定の目安は?

A06

部屋の形状に合わせて機種の選定や台数、配置を検討します。例えば、細長い廊下などでは、到達距離の長い天吊形や床置形を選びます。

細長い部屋

1箇所に機種を配置した:左端に配置した場合、右方向に4〜7m

2箇所に機種を配置した:中心に配置した場合、上下方向に3〜5m、左右方向に3〜5m
2箇所に機種を配置した:上に配置した場合、下方向に4〜7m

四角い部屋

正方形の部屋で4箇所に機種を配置した図:中心に配置した場合、上下左右方向に3〜5m

異形の部屋

L字の部屋で2箇所に機種を配置した図:右上に配置した場合、左方向に4〜7m、左下の中央部分に配置した場合、上下左右方向に3〜5m

Q07ショートサーキットとは?

A07

室内機の吹出空気が障害物等で、直接エアコンに吸い込まれることを「ショートサーキット」といいます。ショートサーキットが生じた場合、サーモの早切れにより冷暖房の効きが悪くなったり、凍結や水漏れが発生したりします。

図解:ショートサーキット。吹出空気が壁にたって吸い込まれている。

Q08「グリーン購入法」とは?

A08

「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」です。
環境に配慮した製品の購入を促進するために、さまざまな物品に対して判断基準が設けられています。

エアコンの判断基準

省エネルギー性:エネルギー効率(APF)が基準値以上であること。
冷媒の環境性 :オゾン層を破壊する物質が使用されていないこと。
パナソニックのカタログでは、適合している製品にはグリーン購入法マークがついています。
「グリーン購入法」についての詳細は、環境省ホームページでご確認ください。

グリーン購入とは(環境省)

Q09品番の見方

A09

一定の法則に従ってつけられています。

図解:品番は12桁の文字列になります。最初の2文字が商品区分、3〜6文字目までが能力コード、7〜12文字目が商品別コードになります。

Q10APFとは?

A10

APF2015 は、APF2006に対して、空調負荷や外気温度発生時間等をより実態に合わせた新しいAPFです。
従来の5つの評価点に中間冷房中温、最小冷房中温、最小暖房標準3つの評価点が追加され、8つの評価点から算出されます。

APF算出評価点

■APF-2006 基準

従来のAPF算出評価点の1.定格冷房標準、2.中間冷房標準、3.定格暖房標準、4.中間暖房標準、5.最大暖房低温の5点になります。

■APF-2015 基準

新基準APF算出評価点は、従来のAPF算出評価点の1.定格冷房標準、2.中間冷房標準、3.定格暖房標準、4.中間暖房標準、5.最大暖房低温の5点に加えて、新たに追加された項目の6.中間冷房中温、7.最小冷房中温、8.最小暖房標準の8点になります。

主な改正点

従来、冷房中間性能は外気35℃で測定していましたが、実際中間能力となるのは、外気27〜29℃であるため、外気29℃(中温)での測定(中間冷房中温)と最小冷房中温・最小暖房標準が追加されました。

APF算出期間

グラフ:APF算出のための外気温発生時間と評価点(東京地区・戸建て店舗)外気温との差が少ない低負荷環境での運転時を考慮したことが分かる棒グラフ

業務用エアコンは2015年4月以降、より省エネ性能の高いトップランナー基準が適応されます。

2015年省エネ法改正に伴い、業務用エアコンについても2015年度達成目標値(トップランナー基準値)が設定されました。これに対応し、各製造事業者はより省エネ性能の高い製品の開発により、2015年4月以降の出荷分より加重平均で目標基準値の達成が義務付けられています。

※APF (2006)

Q11運転音の表示について

A11

運転音の表示が音圧レベル SPL(Sound Pressure Level)から音響レベル PWL(Sound Power Level)に変更になりました。

従来音圧レベル SPL(Sound Pressure Level)

音源から発生した音のある1点における音の大きさ(音圧)を基にした量です。音圧レベルは測定点における値です。実際は音源から発生する運転音が同じでも、音源との距離や方向などの位置関係によって変化します。

測定する位置(音源との距離や方向)によって音圧レベル(騒音レベル)が異なる

新基準音響レベル PWL(Sound Power Level)

音源が発する音響エネルギーの大きさを基にした量です。音響パワーレベルは音源との距離や方向などの位置関係によらず、運転音の大きさによって一義的に決まるので、製品から発生する運転音がより正確に表示されます。

音源が周囲に発する全音響エネルギーを測定するので、運転音の大きさにより一義的に決まる。

Q12フロンラベル表示について

A12

このラベルはフロン排出抑制法に基づく指定製品に使用されている冷媒フロンの環境影響度(GWP)について、定められた目標への達成度を表したものです。製品を選択する時の参考にしてください。オフィス・店舗用エアコンは、出荷台数で加重平均した環境影響度(GWP)の値が、目標年度(2020年または2023年)において目標値(750)を上回らないことが、製造事業者等に義務付けられております。オフィス・店舗用エアコンの内、ビル用マルチエアコンディショナーは、出荷台数で加重平均した環境影響度(GWP)の値が、目標年度(2025年)において目標値(750)を上回らないことが、製造事業者等に義務付けられております。

■R32冷媒使用機種ラベル

フロンラベルの説明の図:この商品で使用しているガスの地球温暖化への影響は?目標年度2020年、使用ガスの地球温袋化係数675、フロンラベルA

対象製品
XEPHY Premium(ハイグレード:P40〜P160形)、XEPHY Eco (高効率:P40〜P160形)、フル暖 XEPHY(寒冷地向け:P56・P80・P112形)

■R32冷媒使用機種ラベル

フロンラベルの説明の図:この商品で使用しているガスの地球温暖化への影響は?目標年度2023年、使用ガスの地球温袋化係数675、フロンラベルA

対象製品
XEPHY Premium(ハイグレード:P224・P280形)、XEPHY Eco (高効率:P224・P280形)、フル暖 XEPHY(寒冷地向け:P160形)

■R410A冷媒使用機種ラベル

フロンラベルの説明の図:この商品で使用しているガスの地球温暖化への影響は?目標年度2025年、使用ガスの地球温袋化係数2090、フロンラベルB

対象製品
miniマルチ

フロンラベル表示の除外製品について

下記製品派フロンラベル表示の指定製品から対象外となります。

  • 室内ユニットが床置形および厨房用天吊形のもの
  • 飲食物の衛生管理のための空気調和を目的とする製品
  • 氷蓄熱式エアコン
使用するフロン類の種類 GWP値
R32 675
R410A 2090

【冷媒について】

当社が指定する冷媒以外は絶対に使用(追加補充・入替え)しないでください。指定の冷媒以外を使用された場合、機器の故障や安全性の確保に重大な障害をもたらすおそれがあり、弊社は一切その責任を負いません。

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