ガスコージェネレーションとナチュラルチラーの組み合わせで、CO2排出量の削減、エネルギーコストの削減、省エネ化を実現
株式会社えひめ飲料 茨城工場 様
背景・目的
エネルギー効率改善のため、LNGを燃料にしたCGSに切り替えを検討
同社は購入電力を削減するため、2016年まで重油を燃料としたディーゼルエンジン発電設備のコージェネレーションシステム(以下、CGS)と吸着式冷凍機を組み合わせて冷熱エネルギーを確保していました。しかし、重油(一次エネルギー100%)を投入したときのエネルギー総合効率が52%と低く、特にその中でも吸着式冷凍機のエネルギー効率が2%とかなり低かった。また、吸着式冷凍機はディーゼルエンジンとの相性が悪く、冷水を安定して供給することが難しいという課題がありました。
やがて、電力使用量も生産ラインの編成等により年々増加傾向になり、従来のシステムではエネルギー効率の改善にも限界を感じていた中、CO2排出量の削減、エネルギーコストの削減、省エネ化を目的に、より廃熱を有効活用できる新システムの導入を検討を開始しました。そして、2018年に近隣にLNG基地が建設されたことを機に、LNGを燃料にしたCGSに切り替えを行いました。
LNGへの切り替えについて、製造本部 副本部長 (兼) 茨城工場長の大槻英則様は下記のように語られています。
大槻様:LNGに切り替えた最大の理由は、CO2削減をはじめとした環境負荷の低減と吸収式冷凍機の導入を実現できることです。また、吸収式冷凍機のような省エネ設備の導入に当たっては、複数の補助金を活用できることも切り替えの後押しになりました。
導入効果
吸収式冷凍機導入でエネルギーの効率化とコストの削減を実現
そして、省エネ化の重要な鍵となる冷凍機には「吸収式冷凍機」の採用を決め、茨城工場の設備環境と最も相性が良くエネルギー効率が高い当社のナチュラルチラーを採用いただきました。以前のディーゼルエンジン発電機は、廃温水の温度が低く、吸収液を十分に加熱できなかったため採用ができませんでした。しかし、LNGを使用するCGSに切り替えたことにより廃温水の温度が高まったことで、吸収式冷凍機との連動が可能になりました。2020年10月からは排ガスボイラと連動させた運用を開始しました。
LNGを使用するCGSとナチュラルチラーの組み合わせにより、総合エネルギー効率は52%から70%まで上昇。ナチュラルチラーが活用できる一次エネルギーは、吸着式を運用していた時期と比較して4倍となる8%にまで上昇し、これにより一次エネルギー消費の削減に繋がりました。また、省エネとは別のメリットとして、以前の吸着式冷凍機では寒さの影響を受けやすく、冷媒が凍結し稼働が止まってしまうこともありましたが、ナチュラルチラーに変更してからは発生していないそうです。
大槻様:設備を一新し、CGSとナチュラルチラーを稼働した結果、年間でエネルギーコストを約6%削減できました。このプロジェクトは入念な準備やさまざまなデータが必要でしたので、私ひとりの力では到底事業を進められなかったです。関係企業、周囲の社員に助けられ、一丸となって挑み、成功させた事業だと思っています。
「現場で働く人」を一番大事に、エネルギーと生産設備の安定化を目指す
一新したCGSとナチュラルチラーの組み合わせによって、コストの削減、エネルギー高効率化を実現させた株式会社えひめ飲料茨城工場様の今後の展開について、大槻工場長は次のように語られました。
大槻様:今後も生産設備の改善を続けて安定稼働を目指します。投入するエネルギーを効率よく回すために、設備も連動して備えるのが大事です。そして、一番大事なのは『現場で働く人』です。労働環境の整備に投資を続け、省人化と定着化の両方に力を注ぎこみ、働く人達のモチベーションを上げて持続性ある取り組みにつなげていきたいと思います。
納入機器
機器名称 | 品番 | 納入数 | 馬力 | 備考 | |
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- | 低温水吸収冷凍機 | - | 1基 | - | 冷凍能力:90RT QA-HS90FLP |
物件概要
建物分類 | 工場・倉庫・生産施設 |
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都道府県 | 茨城県 |
参照URL | https://www.ehime-inryo.co.jp |
特徴 | 阿武隈山地の南に位置し、久慈川水系の良質な水の恩恵を受けられる常陸太田市。株式会社えひめ飲料様の茨城工場は、同社のメイン製品であるポンジュースシリーズの関東地方での販売拡大に伴い1992年、この地に設立されました。同工場では24時間体制で自社製品とOEM製品の製造・出荷を行い、現在は紙容器ライン3つ、小型ペット無菌充填ライン1つの計4ラインが稼働しています。また、効率的な出荷管理を行うため立体倉庫を備え、最大、約100万ケースの飲料を保管を可能にしています。 |
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